フェラーリSF90ストラダーレ 詳細データテスト 記録的な速さ 物足りない限界域でのハンドリング

公開 : 2021.11.13 20:25  更新 : 2021.11.14 06:41

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

ミドシップレイアウトのV8モデルとなれば、488やF8トリブートの後継モデルだと見なすのが自然な流れかもしれない。しかし、それではSF90の37万4420ポンド(約5242万円)という値付けがすんなり腑に落ちないはずだ。

このクルマに続いてV6エンジンベースの296GTBが市場に出回れば、SF90のポジションはもっと明確に認識されるはずだ。しかし今のところは、比較対象になるようなスーパーカーが存在しない。

オプションを含めた車両の仕様は、フロントのラゲッジスペースに設置されたプレートに記載されている。
オプションを含めた車両の仕様は、フロントのラゲッジスペースに設置されたプレートに記載されている。    LUC LACEY

そのため、実際以上に高額なモデルだと思われてしまうのは仕方ないところだ。そういう認識は、とてもこのクルマに手の届かないからというわけではなく、購入できる余裕があっても持つのではないだろうか。

高いリセールは期待できるだろうが、高価格を正当化できる裏付けは、とてつもないパフォーマンスのみだ。ほとんど荷物を積めないので、実用性の高いスーパーカー、などという加点要素は諦めるしかない。

また、果たしてそれにどれだけの意味があるか定かではないが、フェラーリはSF90にも4年保証を付けている。さらに有料で、定期的な点検やメンテナンスが対象となる7年保証への延長プランも用意されている。

経済性やエミッションに関して、一般的なPHEVと同列に考えるひとはいないだろうが、期待はしないのが正解だ。113km/h巡航でも、バッテリーを使い果たすと8.6km/Lしか走らない。CO2排出量は154g/kmで、50g/kmを切るプラグインモデルのようにULEV認定を受けるなど夢のまた夢だ。

といっても、これはスーパーカーなのだ。実用車とは違って、そうしたネガが購入を考え直す理由にはならないはずだ。しかも、市街地などで必要とあれば、ほどほどの距離をEV走行できるのである。それだけでも文句はないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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