メルセデス・ベンツEQB 詳細データテスト 成熟の走り 航続距離は不足 7座不要なら必然性は低い

公開 : 2022.05.28 20:25  更新 : 2022.06.21 04:50

メルセデスEQBは、EV市場ではまだ希少な小型7座SUVです。しかも質感は高く、静かで乗り心地がよく、運転しやすく、速さも十分。とはいえ価格は高め。航続距離は不十分で、バッテリーと充電性能の改善が期待されます。

はじめに

大家族の移動手段となりうる電動車は少ない。7人乗りのゼロエミッション車となると、選択肢はかなり限られる。テスラモデルXは6座と7座を設定している。プジョーシトロエンヴォグゾールは2021年、パートナー/ベルランゴコンボに、ロングホイールベース版を追加した。しかし、テスラのそれは最低でも9万ポンド(約1395万円)はする高級SUVで、旧PSA系の3台は商用バンがベースのMPVである。

とはいえ、刻々と変化をしているのがいまのEVのマーケットだ。今回テストするメルセデスEQBのような、新たな7シーターが増加すると思われる。

テスト車:メルセデス・ベンツEQB 300 AMGライン・プレミアム 4マティック
テスト車:メルセデス・ベンツEQB 300 AMGライン・プレミアム 4マティック    MAX EDLESTON

内燃エンジンを搭載するGLBをベースにしたEVであるEQBは、成長を続けるEQブランドの中では2番目に小さいモデルだ。EQAと同じく、メルセデスの既存の小型車用アーキテクチャーを改修して使用し、全長は5座のスコダ・エンヤックiVより50mmも長くはないが、そのパッケージングは7座キャビンを実現している。

EQのラインナップにおいては2番目のSUVで、急場しのぎ的にメルセデスの電動車向けデザイン言語を当てはめたクルマだが、それがうまくいっているように思える。その辺りは、後ほど詳しく触れることにしよう。

まず発売されたのは2モーターの4WDモデルのみで、出力の異なる仕様が用意されるが、バッテリーのサイズは1種類のみ。ただし、今後は安価な1モーター仕様や、ロングレンジ仕様も追加される見込みだ。現在の価格帯は5万4000ポンド(約837万円)弱から。テストしたEQB 300 4マティックは、その安価なほうのバージョンだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事