トヨタbZ4X 詳細データテスト 及第点だが花マルなポイントはなし 本命はステア・バイ・ワイヤか 

公開 : 2023.01.28 20:25  更新 : 2023.02.13 08:26

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

bZ4Xのシャシーチューニングは、カローラのように、おとなしいが有能だ。どちらもスポーティでダイナミックというほどではなく、運転に夢中になるようなものではないが、念入りにチューニングされていることは間違いなく感じられる。

はっきりわかるのは、重心の低さが、必要以上に乗り心地を硬くせずにタイトなロールコントロールを可能にしていることだ。リアに荷重がかかっていないと、穏やかにコーナーへ入り、オーバーステアに転じるような劇的なところは見せない。

108ps/tという数字以上にパンチがある走りで、コーナリングはバランスが取れているが、熱中させてくれるものではない。
108ps/tという数字以上にパンチがある走りで、コーナリングはバランスが取れているが、熱中させてくれるものではない。    MAX EDLESTON

トラクションコントロールとスタビリティコントロールは、素早くスムースに作動するが、でしゃばるものではない。とはいえ、ハイグリップタイヤではないブリヂストン・アレンザを履いていることを考えると、ほかのクルマよりもう少し強めにシステムを効かせてもよかったのではないだろうか。

ステアリングの手応えはほどほどの重さだ。リアルなフィードバックはないが、この手のクルマにとってそれは致命的なものではない。ラックのギア比は、最近のクルマとしては比較的スローだ。ほかのトヨタ車なら、ほどよく穏やかで直感的になるところだ。

ところが、bZ4Xが用いる小径ステアリングホイールは、ほかの部分のリラックスした感じと不釣り合いに感じられてしまうだけ。ケータハムであれば、超過敏なレスポンスをもたらしてくれるから歓迎できる。しかし、ロールがそこそこあり、ステアリングがスローな大きいSUVには、不似合いなアイテムに思える。

本命はステア・バイ・ワイヤのワンモーショングリップで、今回の機械式ステアリングはやや気乗りしていない仕様に思えてしまう。それは、以前に少しだけワンモーショングリップを試した経験を踏まえても言えることだ。

バイ・ワイヤの常時可変式システムは、きわめて二面的なフィールを持つ。低速ではアグレッシブなターンインでタイトな取り回しを可能にする一方で、速度域の高いゆるめのコーナーではもっとリラックスした動きを見せる。

どちらも最初は奇妙に感じられるが、すぐに慣れるはずだ。そのときは、まだシステムのファインチューンが必要だと思ったが、多くの可能性を感じさせるテクノロジーであることは間違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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