トヨタbZ4X 詳細データテスト 及第点だが花マルなポイントはなし 本命はステア・バイ・ワイヤか 

公開 : 2023.01.28 20:25

走り ★★★★★★★☆☆☆

スペック表によれば、4WDのbZ4Xは、108psのバッテリー2基で、2tのクルマを走らせる。このサイズの電動SUVとしては、2023kgは比較的軽い。しかしそれでも、馬力荷重比は108ps/tということになる。

キアEV6は、シングルモーターが116ps/t、デュアルモーターが156ps/t。トヨタのスペックは、とくに元気なパフォーマンスを予感させるものではない、ということだ。

パフォーマンスはまずまずで、ブレーキの効きも悪くない。これで回生ブレーキのモードや調整幅がもっと充実していれば、より満足いくドライビングができるのだが。
パフォーマンスはまずまずで、ブレーキの効きも悪くない。これで回生ブレーキのモードや調整幅がもっと充実していれば、より満足いくドライビングができるのだが。    MAX EDLESTON

路上では、予想したより速く感じられる。テストコースでは、昨年計測したシングルモーターのEV6を0-97km/hで0.5秒凌いだ。トヨタが使用するモーターの出力を低く見積もっているのかもしれないが、リダクションギアの減速比が13.8と、キアの10.7より低いことも理由のひとつだろう。

それならば、0-161km/hや48-113km/hでキアに後れをとったことも説明がつく。

前輪駆動モデルの0-100km/hは公称7.5秒で、4WDモデルとの差はほんの0.6秒。つまり、4WDモデルはハイパフォーマンスよりも、四輪駆動の必要性を求めるユーザーに向けたものだといえる。

スペックだけを見ると、残念な思いもあるのだが、ファミリーカー向けSUVとしては、bZ4Xは必要十分以上の速さを備えている。

ブレーキとエネルギー回生に関しては、トヨタはシンプルに仕立てている。標準的というべきか、スロットルを抜くと穏やかに減速し、回生を強めるセンターコンソールのボタンを押せば減速が強まる。

しかし、チョイスはそれだけだ。コースティングや本当の意味でのワンペダル運転は設定されていない。完全停止にはペダル操作が必要だ。アダプティブな作動をするモードもない。ドライバーによって好みの回生スタイルがあり、それに対応しているメーカーもあるので、トヨタがそれを用意していないのは不思議だ。なにしろ、兄弟車のスバルソルテラにはパドルがあるのだから。

ブレーキシステムはバイ・ワイヤで、バックアップは機械式。フィールはかなり硬く、やや不自然だ。しかしながら、じつにうまく設定されていて、普通に運転していて制動力を調節するのもスムースに停止するのも非常に簡単だ。

ただし、フルブレーキテストでは、bZ4Xより安定しているクルマのほうが多いくらいだ。前輪がロックしやすく、ABSのポンプ音はかなりうるさい。サスペンションのピッチもかなり多く出る。

113km/hからの制動距離が48.1mというのはなかなか優秀で、コントロールを失って危険な目を見ることは一切ない。だが、もっと安心感を高めることはできるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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