BMW M5 詳細データテスト 電動化を生かした加速性能 調整範囲の広い走り 最大のネックは重さ

公開 : 2025.03.08 20:25

走り ★★★★★★★★☆☆

今回は凍てつくような湿っぽいコンディションだったが、テストは雨の日もあれば晴れた日もある。となれば、加速やブレーキングのベンチマークはやや湿った路面のときとするべきだろう。

完全なドライだったら、記録的な数字が出ただろうかというと、そうは思えない。その理由は、2021年にテストしたF90型のみごとなM5CSを振り返ればわかる。今回の新型はほぼ100psアップしているが、馬力荷重比は14%劣っているのだ。

パワーは高いが重量もあるので、先代CSに発進加速で見劣りする。しかし、モーターのおかげで、高いギアでの追い越し加速は優秀だ。
パワーは高いが重量もあるので、先代CSに発進加速で見劣りする。しかし、モーターのおかげで、高いギアでの追い越し加速は優秀だ。    MAX EDLESTON

そのため、当然ながら加速は、97km/hも161km/hも、ゼロヨンでも負けている。中でも0−97km/hは、2018年に計測したスタンダードなM5にも及ばない。とはいえ、残念な結果とは言えない。むしろ、驚くほどレスポンスがよく、かなり力強く、魅力的だ。

たとえば、2段変速付きの電気モーターは、高めのギアでM5CSより素早く加速する。6速での64−97km/hは3.6秒に対し2.9秒、8速での80−113km/hは7.9秒に対し5.1秒。どちらも、ギア比はほぼ同じだ。

V8は、5000rpmより上でドラマティックな獰猛さに満ちた回り方を見せるので、新型M5にはほぼどんなドライバーにもコースにも合う、失望することのないようなパフォーマンスを発揮する。サウンドは、初期のF90型よりいい。

ギアボックスは、パドル変速が素早く、Dレンジではスムースかつ直観的で、シフトのタイミングやアグレッシブさはこれまでどおり調整できる。

エレクトリックやハイブリッド、eコントロールといった電動系モードでも、アイコニックサウンドが控えめながらはっきりとした合成エンジン音を発するのはおもしろい。とはいえ、V8が新たに得た唸りを楽しみたいなら、パワートレインのモードをスポーツかスポーツプラスにする必要がある。

テスト車はオプションのMドライブ・プロフェッショナルを装備しており、ハイブリッドのモードにダイナミックとダイナミックプラスが加わっている。後者は、パフォーマンス追求のために駆動用バッテリーの電力を積極的に使い切ろうとする。もっとも、Mディビジョンのエンジニアに言わせれば、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェでアタックしても、1周する前にバッテリーが切れることはないらしいが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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