BMW M5 詳細データテスト 電動化を生かした加速性能 調整範囲の広い走り 最大のネックは重さ

公開 : 2025.03.08 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

パワートレインと同じく、ハンドリングに関しても好みのモードを選ぶ必要がある。ドライブトレインは4WD/4WDスポーツ/2WDで、それぞれトラクション/スタビリティコントロールの異なる設定が組み合わされる。もしも728psを後輪駆動で操りたいと思ったら、スタビリティコントロールの類は一切カットすることになる。そう聞いたら、ためらいを覚えるのではないだろうか。

エンドレスな調整機構は、Mディビジョンが顧客の好みをわかっていることの表れだが、皮肉なことに、運動性の性格が幅広くても、公道では歩幅の大きい高速GTにも、テールを振り回せるスポーツセダンにも変身できる能力がこのクルマに欠けている。

カーボンルーフは重心を下げるのに寄与するが、それ以上に効くのが22.1kWhのバッテリーだ。キャビンの床下に、60Lの燃料タンクと同居しているのだから。
カーボンルーフは重心を下げるのに寄与するが、それ以上に効くのが22.1kWhのバッテリーだ。キャビンの床下に、60Lの燃料タンクと同居しているのだから。    MAX EDLESTON

広く路面がスムースで、速度域の高い道でいい走りをすることは、疑問の余地がないが、全幅が広いので、狭い道ではやや気になってしまう。しかし、飛ばせる広さがあって、バネ上が落ち着いて走れる場所なら、横グリップは必要なだけ得られ、ボディコントロールは波打ちなく水平を保つ。そして、最近のM製セダンを特徴づける積極的な旋回性を発揮する。ステアリングはかなりダイレクトだが、問題になるほどではない。ただし、触覚的なコミュニケーションは薄く、荷重がかかると急に重くなることもある。

バンピーなA級道路では、全面刷新されてトレッドが拡幅されたアクスルの仕事ぶりにやや不満が残る。2.4tの重量が顔を出しはじめるが、その主な理由は、パッシブのスタビライザーとコイルスプリングが、うまく処理しきれていないことにある。

複雑な路面では、このM5はややソワソワして扱いにくくなる。アシンメトリーな入力に対しては過剰に反応してしまい、歴代のうちでもよくできたモデルにあったような、敬意を覚えるほどの安定感は感じられない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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