BMW M5 詳細データテスト 電動化を生かした加速性能 調整範囲の広い走り 最大のネックは重さ

公開 : 2025.03.08 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

このクルマが5シリーズの収益性においていかに重要な役割を果たしているかを物語るのが、短時間で投入されたことだ。G60型5シリーズがディンゴルフィング工場で生産を開始して1年後には、G90型セダンが登場し、それから数ヶ月でG99型ツーリングも加わった。

言ってみれば、550e xドライブの198psモーターと22.1kWhバッテリーを、先代M5と基本的には同じ4.4L V8ツインターボに組み合わせ、700psオーバーを達成したスーパーセダンということになる。しかし、出来上がったクルマが、BMWの目指す最新Mモデルの最上級機種となったことは言うまでもない。

ベースとなるG60型5シリーズと同じく、サスペンションは全面刷新。フロントのキャスター角やキングピン角を増し、前後ともロールセンターを下げてトレッドを広げた。それをカバーするのはホイールアーチに後付けするオーバーフェンダーではなく、拡幅されたボディワークだ。
ベースとなるG60型5シリーズと同じく、サスペンションは全面刷新。フロントのキャスター角やキングピン角を増し、前後ともロールセンターを下げてトレッドを広げた。それをカバーするのはホイールアーチに後付けするオーバーフェンダーではなく、拡幅されたボディワークだ。    MAX EDLESTON

まずはじめに言っておきたいのは、G60に対する重量増加は、ハイブリッドシステムより、シャシーやアクスルの強化ブレースによるほうが多い。最初は信じられない思いだったが、空車でも2435kgあり、728psを発生するセダンであることを考えると、これらの数字がもたらす横荷重は想像できる。

ボンネットの下をはじめ、フロントアクスルとリアサスペンションサブフレームの周辺などには縦横にブレースが入っており、BMWは広範囲にわたり補強を施したと説明する。

4.4LのS68型V8エンジンは、表向きは先代まで用いられたS63型の改修版で、ツインスクロールターボを搭載したほか、吸気系や潤滑系、排気系を刷新。2000rpm未満で76.5kg-mのトルクを発生し、7200rpmまで回る。

Mモデルの常で、スプリングはアダプティブなエアではなく、スティールのコイルに固執している。ただし、今回はプログレッシブレート式を採用した。

また、M5初の四輪操舵も採用された。駆動方式は4WDで、完全な後輪駆動にも切り替え可能なM xドライブ。モーターには2速の変速機が組み合わされ、28.6kg-mのトルクを実質的に45.9kg-m相当まで高めることができる。

カーボンセラミックブレーキを装着したテスト車の実測重量は、燃料タンク1/3のガソリン込みで2373kg。2023年に計測したメルセデスAMG GT63S Eパフォーマンス 4ドア・クーペより重いが、その差はたったの34kgだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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