マイナーな1980年代の名車&迷車 39選(後編) 記憶から消えてしまうのが惜しいクルマ

公開 : 2025.11.30 11:45

レクサスES(初代、1989年)

トヨタは当初、初代レクサスLS(セルシオ)をフラッグシップモデルとして構想していた。しかし、米国を中心とする市場調査の結果を踏まえ、専用のブランド化が必要と判断。販売台数を確保するために、カムリをベースにESを開発した。

1989年デトロイト・モーターショーでLSと同時にデビューし、LSより小型・廉価なモデルとして位置付けられた。レクサスは1989年9月、LSの初回生産分1000台を納車した翌月にESの販売を開始した。両モデルは人気を博し、1989年末までに1万6000台の販売を達成。1991年には内外装ともにレクサス専用デザインを採用した2代目ESが登場した。

レクサスES(初代、1989年)
レクサスES(初代、1989年)

ベルトーネ・フリークライマー(1989年)

1980年代、4WD車セグメントは劇的な変貌を遂げた。かつては実用車として購入されていたジープグランドワゴニアランドローバーレンジローバーが、ステータスシンボルへと変化したのだ。ベルトーネはこれを好機と捉えた。

ダイハツ・ロッキーをベースに、格段に洗練されたインテリアを採用し、細部のデザインを改良。特に重要な変更点として、滑らかで高出力なBMW製エンジンに換装した。このモデルは1989年よりフリークライマーとして販売された。初代フリークライマーは1989年から1992年にかけて約2800台が生産された。この数字は驚くほど多いわけではないが、新型ロッキーをベースにした2代目モデルの開発が決定。フリークライマーII(写真)の販売は1992年に始まり、1995年までさらに2800台が生産された。その後、ベルトーネは他のプロジェクトの生産能力を確保するため、フリークライマーの生産を終了した。

ベルトーネ・フリークライマー(1989年)
ベルトーネ・フリークライマー(1989年)

ラフォルツァ5リッター(1989年)

1989年に登場したラフォルツァ5リッターは、1980年代後半にイタリアを訪れた人なら誰もが親しみを感じるデザインだった。イタリア軍、警察、カラビニエリ(憲兵隊)向けに、イヴェコのシャシーをベースに生産されたレイトン・フィッソーレ・マグナムをさらに発展させたモデルだ。マグナムはフィアット・ウーノをマッチョにしたような外観で、これをレンジローバーに対抗する高級SUVへと改造するよう依頼されたのがデザイナーのトム・ジャーダ氏(1934-2017)だ。

5リッターはフォード製4.9L V8エンジンを搭載し、4速オートマティック・トランスミッションを介して四輪を駆動した。インテリアは本革シートとリアルウッドで高級感を演出。発売当初は特にカリフォルニア州で好調だったが、初期モデルはさまざまな不具合に悩まされ、同社の米国部門に打撃を与えた。1990年に破産申請したが、サウジアラビアのバドラーン・エンタープライズ社が資産を買収(同国での5リッター販売を開始)したことで復活を果たした。

ラフォルツァ5リッター(1989年)
ラフォルツァ5リッター(1989年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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