ロールス・ロイス・スペクター 詳細データテスト 品格ある走り 新時代ロールス 革新的EVではない

公開 : 2024.03.02 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

すでにこのクルマのワイドさには言及しているが、ドアを閉めればその圧倒される感じは少し和らぐ。それでも車線幅を埋めるほどの大柄なGTで、攻めるほどにより精密な操作が求められる。

印象的だったのは、カントリーロードでのハイペースなドライブが、ファントムカリナンよりしやすかったこと。むしろ走りの性質はゴーストに近いものがある。

B級道路をそこそこのペースで飛ばすようなドライブが楽しいスペクターコーナリングは精確。ただし、寸法と重量を完全に忘れ去ることはできない。
B級道路をそこそこのペースで飛ばすようなドライブが楽しいスペクターコーナリングは精確。ただし、寸法と重量を完全に忘れ去ることはできない。    MAX EDLESTON

ハンドリングは、過敏さや不自然に出そうとしたアジリティが一切ない。旋回に合わせてのロールは小さいが。ふんわりした乗り心地が、荒れた道ではやや波打つような挙動を生んでしまうこともある。コーナリングは安定していて、安心感を覚えるほど精確。四輪操舵にせよアクティブスタビライザーにせよ、そうしたアクティブ制御が機能して、速度が高くてもタイトなラインを素晴らしいアキュラシーで刻んでいく。直線はおろか、ワインディングで3t近いクルマが、これほどハードな走りに応えてくれるとは、想像もできなかった。

ステアリングの手応えは軽いが、走行度に応じて重さを増す。ロックトゥロック2.4というのは、ロールスとしてはややダイレクト。電子制御トラクション/スタビリティコントロールを備えるが、ハイペース時でも介入はそれと感知させない程度だ。オンにしておけばパワーオンでのアンダーステアを防いでくれるが、グリップ限界の範疇であれば、これらのデバイスをカットしても安定したコーナリングをできるはずだ。

高速コーナーと、おだやかなロールを発生させるような地形は、かなり気持ちよく走れるクルマだ。

記事に関わった人々

  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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