プジョー408 詳細データテスト 斬新なスタイル 予想外に良好なハンドリング 乗り心地はやや過敏

公開 : 2023.10.21 20:25  更新 : 2024.02.16 23:41

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

もし、408にスタイリング以上の長所があるとすれば、驚くほど魅力的で磨かれたハンドリングだ。

とはいえ、これには説明が必要だ。このプジョーのファストバックには、LSDの類が一切用意されていない。また、パワートレインがエキサイティングなものでないことは、すでに触れたとおりだ。運動性が高そうに思わせる要素は、グッドイヤー・イーグルF1を履いていることくらいだ。にもかかわらず、走り志向のドライバーに訴えるものが多分にある。

ハイブリッド180は、魅力的で遊び心あるコーナリングをみせる。ほかの部分がユルめなことを考えると驚くほどだ。しかし、ウェット路面では安定感が損なわれる。
ハイブリッド180は、魅力的で遊び心あるコーナリングをみせる。ほかの部分がユルめなことを考えると驚くほどだ。しかし、ウェット路面では安定感が損なわれる。    JACK HARRISON

まずそれに気づくのは、コーナーへの進入時だ。サスペンションの荷重がきちんとかかっていることを教える程度にはロールするが、それ以上にはならない。ステアリングレスポンスもうまく調整されていて、一貫したロールレートとの麗しいマッチングをみせる。フィードバックは限定的だが、手応えは増減する。

いっぽう、小径ステアリングホイールとセンターから切りはじめたところのクイックなレスポンスは、このクルマにそれらしくみせるようなバックアップのない、本来の俊敏なフィーリングをもたらす。しかし、日常的な速度域で運転する408オーナーは、もっと驚きを経験するだろう。

S字コーナーは指先の動き程度で走り抜け、そのプロセスに心から満足できる。グリップとバランスは求める以上によく、コーナリング中にスロットルでアジャストできそうな気配さえある。根底には、ホットハッチ的な性質が感じられるのだ。

濡れた路面では、唯一の大きな弱点が露呈する。トラクションだ。ジャンクションを速めの速度で抜けようとしたときや、タイトなコーナーの出口では、フロントアクスルがぎこちなく地面を引っ掻き回す。おとなしく走ることがメインのクルマでは、比較的小さな問題だが、注目には値する。508では低いボディが際立たせているだけで、運動性はほぼ同じだからだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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